Hさんは、自閉症の長男・Tさんと一緒に 幸福の科学 の障害児支援団体 「一般社団法人ユー・アー・エンゼル」 で活動しています。数々の苦労を喜びに変えてきた、25年の歩みをお聞きしました。
H・Sさん(鹿児島県・50代・女性)
月刊「幸福の科学」 357号より転載・編集
※こちらの記事は、 映画「心に寄り添う。」 に関連する体験談です。

体験談 自閉症の息子と一緒に見つけた本当の幸せ―

まさか、私の子が

「Tくんは、広汎性発達障害(※1)です。これから療育していきましょう」
それは、1994年、長男・Tが3歳のとき、児童相談所の専門家から告げられた言葉でした。

(発達障害……)
確かにTは、2つ上の長女と比べて「育てにくい」子ではありました。絵本を読んでも興味を示さない。おもちゃを与えても喜ばない。2歳半を過ぎても「ママ」「パパ」以外の言葉を話さない―。「少し発達が遅いのかな」と思うことはありましたが、まさか「障害」と言われるなんて……。

あまりのショックで現実を受け止めきれずにいたころ。幸福の科学の映画「ノストラダムス戦慄の啓示」(※2)が公開され、私は子育ての合間に映画館に足を運びました。その劇中で、人間があの世からこの世に生まれてくる前に、夫婦や親子になる相手と約束を交わしている場面が描かれていたのです。

ある男性は、障害を持って生まれることを計画していました。そして自分の母親になる女性に、「大変な修行になるけど、お願いします」と頼んでいるのです。母親になる女性は答えました。

「勇気を持って、あなたを育てるわ」
そのシーンが、私の心を揺さぶりました。
(私とTも、こうしてあの世で約束してきたんだ)

私は、Tが生まれた年に幸福の科学に入会し、仏法真理(※3)を学んでいました。だから、人間は生まれてくる前にあの世(天国)で「人生計画」を立ててくることや、あえて障害者として生まれることで、人々に勇気と希望を与える使命を担っている人もいることを、「知識」としては知っていたのです。

(↑ Tさんが4歳のとき。目を離したすきに池で遊んでいた。)

この映画を観たとき、やっと、それを自分のこととして受け止める覚悟ができました。

(※1)知的障害を伴う自閉症・高機能自閉症・アスペルガー症候群・レット症候群・小児期崩壊性障害などを包括した発達障害の総称。
(※2)映画「ノストラダムス戦慄の啓示」(1994年公開)
(※3)人間を幸福に導く神仏の教え。人類に共通する普遍的なルール。

心が挫(くじ)けそうなときは―

とは言え、偏食も多く、散髪や爪切りもままならず、突然走り出すことも多いTを育てるのは、容易なことではありませんでした。

4歳で入った保育園では、特別に2歳児クラスに受け入れてもらいました。小学校は、近くの公立学校の支援学級に通学。

登校中、Tは道端の落ち葉や泥を見つけると、夢中で遊び始めてしまうので、一緒に通っていた長女まで遅刻してしまうことも……。

警察のお世話になる騒動を起こしたこともあります。Tが小学1年生のとき、長女のピアノの練習に連れて行った日のこと。駐車場に車を止めた途端、Tがぱっとドアを開けて走り出てしまったのです。

「待って、T!」

慌てて追いかけましたが見つからず、警察に通報しました。捜索は何時間も続き、日付が変わる直前になってやっと、2キロ離れたレンタルビデオ店で発見されたのです。
(ああ。無事で良かった)

少しでも目を離すと、Tは家や教室を抜け出し、川に入ったり崖を登ったり……。

一見すると健常児と変わらないため、事あるごとに「変な子」「躾(しつけ)が悪い」と、周りから冷ややかな目で見られます。
(私がもっとしっかりしなくちゃ……)

心が安まらず、いたたまれない気持ちになるたびに、私は 大川隆法総裁 の著書 『ユートピア創造論』 を開きました。

「(仏は)人生の途上に、一見、苦難・困難と見えるような状況をも用意します。しかし、それは決して人間を苦しめるために存在するのではありません。仏はあくまでも、一人ひとりの人間が、その困難を乗りきり、至福の世界に入ってくることを願っているのです」

その言葉が、挫けそうになる私の心に力を与えてくれます。
(Tと一緒に頑張ろう。同じように苦しんでいる人の励みになるような、そんな生き方を目指したい……)

「ブッダさま、ブッダさま」

Tにとっても、大川総裁の教えは特別なものだったようです。

「ブッダさま、ブッダさま、ブッダさま」
こう言って、大川総裁の御法話ビデオを自分でかけては、ビデオが擦(す)り切れるほど、繰り返し真剣に観ていました。また、Tは家の中で大川総裁の写真を大切そうに持ち歩いていたのです。

家族全員が教えを学んでいるので、Tが障害を持って生まれてきた意味を深く理解し、いつも温かく見守っていました。Tが新しい言葉を覚えたり、できることが増えたりするたび、家族みんなで大喜びします。

学校の先生方のご協力や療育のおかげもあって、小学校高学年ごろから、Tの衝動的な行動は次第に治まっていきました。

(信仰に支えられて、ここまでこれた―)
そう実感するにつけ、障害児を育てている方にこそ、大川総裁の教えをお伝えしたいと思うようになっていったのです。

「桜島のような心で生きたい」

Tが24歳になった、2015年11月のある日。
知人に誘われ、幸福の科学の障害児支援団体「ユー・アー・エンゼル」の集いに参加しました。

そこで、諏訪(すわ)理事長から、活動についての説明がありました。
「『ユー・アー・エンゼル』は、『障害があっても魂は健全』と考えています。障害があると、『この子の知能は◯歳児程度です』とか、『この子はこれができません』とか、できないことに注目されがちです。

でも私たちは、その子がどうしたらできるようになるかを考えて、一人ひとりに向き合っています。
すると、字が書けなかった子が書けるようになったり、歩けなかった子が立ち上がったり、奇跡的な事例がたくさん起き始めています」

諏訪理事長の話を聞いて、ハッとしました。
(今までTが普通に生活できれば良いと思っていたけど、もっとTのためにしてあげられることがあるかもしれない)
私は「ユー・アー・エンゼル」の活動に参加させていただこうと決めました。

そして2017年6月、東京で行われた「ユー・アー・エンゼル」の集いに、Tと一緒に参加したときのことです。
その日のゲストスピーカーであったS教授は多くの重度障害児と接し、指筆談やスキャンワープロで障害児の気持ちを表現させる研究に長年取り組んでおられます。

この日はTも指筆談にトライすることになりました。
(どんな思いを伝えてくるんだろう……)

Tの指が、S教授の手のひらのなかで動き、Tが綴(つづ)った言葉をS教授が”通訳”してくれます。
「ここまでこれたのも、両親のおかげだし、何とかして僕も、普通の人間として生きる道を探したいと思います―」

Tは、私たちへの感謝の言葉や、思い通りに体を動かせない苦しさ、本当はもっと文字の勉強がしたいことなど、普段は知ることのできない、数々の思いを伝えてくれたのです。

そしてその締めくくりは―。
「おおらかな、あの桜島のような気持ちで僕は生きていきたいです」

Tは小さいときから、よく桜島を眺めて、絵に描いていたのです。S教授には、私たちが鹿児島から来たことを伝えていなかったので、「桜島」の話が出てきたことに、とても驚きました。

(Tの知能は、24歳になった今でも2歳児程度と言われていたけど、心は立派に成長していたんだ)
「障害があっても魂は健全」という教えを身をもって感じた体験でした。

Tの可能性を信じて

7月に参加した「ユー・アー・エンゼル」の合宿では、Tもローマ字などに挑戦しました。

私は今まで、「Tは2歳児程度の知能しかないと言われているし、勉強は難しいだろう」と思い、Tの力を引き出そうとしてこなかったのです。

しかし、「ユー・アー・エンゼル」では、指導員の方が一人ひとりに合った方法を探りながら支援してくれます。「障害者だから」と決めつけず、可能性を信じてくれるのです。

私は、大川総裁の教えを学んでいながら、Tのなかに立派な大人の魂が宿っていることを、本当に信じられていただろうかと、反省しました。私が家を空けるとき、Tがいるのに声をかけずに出てしまったこともあります。
(Tはちゃんと分かっているのに……。ごめんね)

私は、Tへの接し方を改め、世話を焼き過ぎずに、できるだけ自分でやらせて見守るようにしました。また、いずれはTがパソコンで自分の気持ちを伝えられるように、文の読み書きも教え始めたのです。

(Tといろいろなことに挑戦したい!)
そんな私の思いをTは敏感に感じ取り、とても喜んでいるようです。

(Tが「障害を持ちながらも多くの人に希望や勇気を与える人生を生きたい」と願うなら、その使命を応援してあげたい)
今は、そんな気持ちでいっぱいです。

障害者の幸せを願って

障害者と接する人のなかには、心無い言葉を口にしたり、ぞんざいな扱いをしたりする人もいます。それはやはり、「障害があっても魂は健全」という真実を知らないからだと思うのです。

2017年7月には、障害者を傷つける悲しい事件がありました。障害者を虐(しい)たげるような考えが、世の中に広まらないようにしたいと心から願っています。

私は、重度自閉症のTを授(さず)かったことで、自分の器を広げる機会をいただき、家族の絆も強まりました。この幸せは、Tが運んできてくれたと感じています。

私は今、「障害者と、その家族のサポートをしたい」と思い、幸福の科学の拠点で「ユー・アー・エンゼル」の集いを開催しています。今後もTと一緒にこの活動に取り組み、世の中に幸せな人を増やしていきたいです。

家族からTへ

Tは天真爛漫(てんしんらんまん)で明るいので、いつも家の中を照らしてくれる存在です。Tの使命が果たせるように、応援しながら見守っています。(父・Mさん)
癒(いや)し、元気、喜び、感動など、Tからたくさんの”宝物”をもらっています。私の弟として生まれてきてくれて本当にありがとう!(姉・Aさん)
僕は、一生懸命で、純粋で、優しくて、心が広い兄を尊敬しています。仏法真理を学ぶ「法友」として、一緒に成長していきたいです。(弟・Kさん)

書籍で学ぶ ハンディを持って生まれてくる意味

『幸福へのヒント』 (大川隆法 著/幸福の科学出版)

スタートラインから進んだ距離が測られる

自分の子供が何かの障害を持っていたとしても、決して落胆してはいけません。「ハンディがあるからこそ、あなたは頑張れるのだよ」という話を子供にしてあげてください。

人生は、いろいろなあやがあって、でき上がっているのですから、ハンディのあることが不幸だとは決して言えないのです。

人によってスタートラインが違うのは、ある程度、しかたがありません。しかし、どのスタートラインから始めたとしても、そこからどれだけ進んだか、どれだけ頑張ったかが測られるのです。

ある人は、「五体満足で、頭もよく、大富豪の家に生まれた」という条件でスタートし、どこまで進めるかが測られます。また、ある人は、非常な逆境からスタートし、どこまで進めるかが測られます。

いずれにしろ、魂にとっては、「これだけ歩いた。これだけ走った」という距離が測られるのです。そう思えば、困難を切り抜けることができると思います。つらいこともあるでしょうが、そういうときのために光明思想もあるのです。

最後に、肉体的には障害はあっても、霊的には完全であることを忘れないでください。実在界に帰天したあとは、自由自在です。そのときに、人生の問題集の意味を悟る人もいるのです。

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