夫の浮気から学んだこと【体験談】
夫の浮気で気づいた「人生の問題集」
ご主人から浮気を告げられたSさんは、苦しみながらも自分の問題を見つけ、心を変える努力をしました。浮気されてしまったSさんの心の軌跡と、ご家庭に起きた変化とは、どのようなものだったのでしょうか。
(Sさん/女性/月刊「幸福の科学」第216号より転載・編集)
調和して生きていくことの大切さ
「会社に付き合っている人がいる」
「バカじゃないの? 手紙なんか寄こして。ぼくは他に好きな人がいるんだ」
ある晩のことです。夫が食卓につくなり吐き捨てるように言いました。会社に付き合っている女性がいて、「運命を感じる」のだとも……。私には思い当たることがありました。ここ1年ほど、夫は家にいても常にイライラしていたのです。生まれたばかりの娘をまるで荷物のようにつかみ上げたり、「かわいくない」と言ったり。子どもの世話にかかりっきりだったのがいけなかったと思い、昨晩、置き手紙で謝ったばかりでした。私はとっさに、こんな冷めた言葉を発していました。
「……私の問題じゃないから、先のことはお二人で考えたら? 相手も困るだろうし、早く結論を出したほうがいいんじゃない?」
離婚歴のある私
実は、私には離婚歴がありました。最初の結婚は25歳のときでしたが、土日も出勤するほど仕事優先の生活が変えられず、そんな私の帰りを、寝ないで待っている前夫がうっとうしくなり、結局、3年目に私から別れを告げて離婚。その後、30代になってから10歳年下の今の夫と出会い、再婚したのです。
浮気の実感が痛みとなって
浮気を告白された後、夫に一切関心を持たないようにしました。考えなければ、苦しまなくて済むと思ったのです。以前と同じように、毎朝、仕事に行く夫を駅まで車で送る時も、まともな会話一つありません。夫も駅に着くなりバタンとドアを閉め、無言で行ってしまいます。そんな日が1週間ほど続いた頃でしょうか。胸のあたりに鈍い痛みを感じました。急に、浮気をされたことが実感をもって迫ってきたのです。まるで心が引き裂かれるように心の痛みは身体に出ました。市販の風邪薬でアレルギー症状を起こし、めまいと吐き気で立ち上がることもできないほどでした。
布教誌の配布に誘われて
同じ地域に住む 幸福の科学 の先輩信者の方から電話をいただくようになったのは、この頃からです。信仰を持ったばかりの私を、 支部 の集いや活動に誘ってくれたのでした。
「ねえ、一緒に布教誌の配布をしない?」
「ごめんなさい。せっかくだけど、今はそんな気分になれないので……」
「あら、もったいない。仏の教えを広めることは菩薩(ぼさつ)※になる道でもあるのよ」
「菩薩」という言葉が強く耳に残り、早速、次の日の夕方から、1歳になった娘を抱きかかえて、ご近所に 月刊「幸福の科学」や「ザ・伝道」 をお届けし始めました。「夫に裏切られた悔しさを忘れたい」と、一人で悶々と悩んでいただけに、「菩薩だったら、自分のことばかり考えて苦しまないだろうな」と思いながら――。
※菩薩:仏を目指して精進し、利他・愛他の思いで生きる人のこと。
悩みを喜んでいた自分
配布を始めて数カ月が経ち、近所のお母さんたちと立ち話をするようになって、気持ちも上向き始めてきました。でも、夫との間には何の進展もありません。「やっぱり離婚して働き始めようか」と、夕日が差しこむキッチンで深々とため息をついていた、その時です。私は、自分がなぜか微笑んでいることに気づきました。この状況を喜んでいる自分にがく然とすると同時に、不思議と、ピンとくるものがありました。
(これが、私の、「問題集」なんだ……)
今まで何度も、幸福の科学で「人生は一冊の問題集であり、悩みや苦しみは自分を磨くための砥石である」と学んできました。でも、夫の浮気だけは彼自身の問題としか思えなくて、謝ってくるか、それとも離婚を切り出してくるか、向こうの出方を待っていたのです。
女神の優しさを学びたい
数日後、たまたま幸福の科学の支部長からお電話をいただいた時、私は初めて他人に打ち明けました。
「実は、夫とうまくいっていないんです。前の結婚では、仕事をしすぎて失敗したから、今は専業主婦をしてるんですけど」
「それは英断ですね。ご主人とライバル関係になったらダメですよ。天上界にいる女神様の優しさを学んでみたらいかがでしょう」
支部長は、優美さや調和の心の大切さを話してくださいました。以前、女神の調和的な生き方について書かれた幸福の科学の書籍を読んだ時には、どうして女性らしさがそれほど大事なのか、チンプンカンプンでした。でも、支部長との話に出てきた「女神」という言葉が、この時はいつまでも心に残ったのです。翌月、 精舎 で研修で受ける機会があったので、思い切って、「女神になる」ということ目標を持って、研修に臨むことにしました。
父を責めていた母の姿
それからは、導かれるように精舎に通い、自分の心を見つめるようになりました。ある研修で、「相手の人生を白紙の眼で見る」という公案について考えていた時のことです。私は、いつしか父のことを考えていました。よく「だるい」と言っては、仕事を休みがちだった父。勝気だった母が、「また体のせいにして」などと、父の不甲斐無さをしょっちゅう責めていたせいか、私も父をダメな人だと思っていました。
(でも、本当にそうだろうか。愚痴をこぼしながらも、決して仕事を辞めようとしなかった。お父さんなりに、すごくがんばっていたのかもしれない……)
「また熱出したの? 仕事に対する責任感が足りないからよ。しょうがない人ね!」
厳しい口調で夫に言葉をぶつけている自分の姿が心に浮かび、次の瞬間、母の姿とスッと重なりました。自分のなかに母と同じ「問題集」があることを、はっきりと感じたのです。
気づかずに相手を傷つけていた
時期を同じくして、私は支部長から地域のお世話役を頼まれました。青年からお年寄りまで、年齢や職業が違う人々のなかには、「なんであんなに自己主張が強いんだろう?」と理解できない人もいて、正直、困惑しました。でも、よく考えてみれば、会社時代の自分も同じだったのです。私は何でも一人でやってしまうタイプで、「お前の尻ぬぐいが大変なんだ」と、上司から嫌味を言われても平然としているほど、我の強い性格でした。どうしようかと支部で物思いにふけっていると、「欠点をハッキリ指摘されたら傷つく人もいますよ」と、支部長からアドバイスをいただきました。
(えっ?そうなんだ)
私は、相手の自己変革の助けになればと思い、「あなたは、いつも大事なことを後回しにするよね」など、思ったことを相手にそのまま伝えていたのです。
(夫にも、自分勝手な理想像を押しつけていたのかもしれない……)
浮気をする夫の「いいところ」
それ以来、「思ったことをそのまま口に出さないぞ」と、必死に自分へ言い聞かせました。責める心が止まらなくてムシャクシャしてくると外へ散歩に出かけたり、「許す愛」について説かれた教えを探しては幸福の科学の経典を読み漁りました。こうしてお世話役を続けながら、家では怒りのコントロールを心がけて、半年ほどたった頃だったでしょうか。私は、「仏はどんな眼で私たちや世界を見てらっしゃるんだろう」と考えることが多くなっていました。もし、仏が私の立場にいらっしゃったら、夫のことをどう思うだろか――。帰りが遅く、浮気相手とのお付き合いも続いているようでしたが、夫のいいところが一つだけ見えてきました。
「他に好きな人がいても、私と子どものために一生懸命働いてくれている……」
そんなふうに考えたことは、今まで一度もありませんでした。
数年ぶりの優しい言葉
「気をつけてね。行ってらっしゃい」
夫とは相変わらず、会話らしい会話もありませんでしたが、思い切って、ねぎらいや優しい言葉を口に出すようにしました。食事も夫の好みに合わせて作るようになり、忙しい時ほど、一品増やすようにしました。ある日曜日の昼下がり。いつもは寝ているか、外出しているはずの夫が、のそのそと起き出してきました。
「たまには美容院にでも行ってくる? 子ども見ててあげるから」
私は一瞬キョトンとしてしまいました。夫から優しい言葉をかけられたのは、数年ぶりのことだったのです。
(本棚の幸福の科学の本の位置が変わっていたけど、読んでくれたんだろうか……)
夫は、その後、 大川総裁 の御法話拝聴会に自分から参加し、幸福の科学の信者になりました。相手の女性のことは、私からは聞けませんでした。でも、早く帰って来てくつろいだり、娘と楽しげにプロレスごっこをする夫を見て、「終わったんだ」と思いました。
夫を憎む気持ちが解けて
「今度、家族で精舎へ行かないか?」
夫が信者になった翌年のことです。夫の提案で私たちは家族そろって 北海道正心館 に参拝し、仏への感謝を捧げることができました。精舎に集う仲睦まじい家族の中に、私たち一家もいました。
早朝、美しく紅葉した木々に彩られた精舎の参道を、一人歩きました。木が1本だけ色づいていても、景色にはなりません。全ての木々が調和していっせいに色づくから、こんなに美しいのだと、しみじみと感じました。ふっと風が吹き、木の葉がいっせいに揺れました。夫を憎む気持ちが消えていました。
(もし、あの浮気がなかったら……)
浮気そのものはとても苦しい体験でしたが、人を裁く自分の傾向性を教えられ、相手を理解し、調和していくことの大切さに気づくことができました。それは、私の人生にとって、本当に大切な気づきでした。これからは、仏が喜ばれるような、調和した家庭を築いていけるように、生きていきたいと思います。
男が浮気をするときの一つの法則
『ティータイム』 (大川隆法 著/幸福の科学出版)より抜粋したメッセージ
ご主人が家に帰らない理由
ご主人のほうに、いつも奥さんに負けているという気持ちがあると、ご主人は、家へ帰ってくるのが、だんだん辛くなってきます。こういうご主人が、だいたい浮気をします。浮気をして、もっと優しい、競争しなくてもいいような女性を求めていくのです。
ご主人は、毎日、いつもいつも家のなかで裁かれているのです。「あなたは稼ぎが悪い。あなたは出世しない。あなたは頭が悪い。あなたは女房を養う力もない。あなたは子供の手本になれない」——こういうことを、いつも、口に出して言われるか、無言で言われるか、どちらかなのです。そうすると、だんだん、残業と称して帰りが遅くなります。そして、出張と称して家にも戻らなくなってきます。
男性は自尊心の動物
これは一つの法則なので、法則は法則として認めた上で、これへの対策を立てなければいけません。それは、自分の家だけの特殊事情、あるいは、突如として天から降ってきた不幸や災難ではないのです。男性というものは自尊心の動物です。男性には、自尊心を家のなかで保てないと、必ず破滅のほうに向かっていく習性があります。その自尊心の部分は、どうしても、皮一枚であっても、どこかに残しておかないといけません。それを切ってしまったら最後になるのです。ほんとうに賢い奥さんとは、ご主人をばかにできるような奥さんではないのです。ご主人をばかにする奥さんが、賢いのではありません。ご主人を上手に立てて、機嫌よく定年退職まで働いてもらえるようにもっていくのが、やはり賢い奥さんなのです。男性の自尊心は、皮一枚であっても、どこかに残しておかないといけません。
(経典『ティータイム』より)