難病(副腎白質ジストロフィー)の息子を支え、見送った母の思い【体験談】

親子の絆は永遠に 天国の息子に手向ける供養の心

難病でこの世を去ったひとりの男性。家族が心を合わせて病と闘った日々は、互いの絆を深め、それぞれの魂を磨いた、かけがえのない時間でした。病気になったご本人と、それを支えた家族の心を追った体験談とともに、人生のヒントをお届けします。
(R.Hさん/女性/大阪府/「ザ・伝道」第202号より転載・編集)

「死後の世界」を予習してあの世に旅立ったあなた

「副腎白質ジストロフィー」という難病に

息子のTは、32歳で亡くなりました。難病を患った息子と私は、ずっと一緒に暮らしてきました。今も、自宅で一人で食事をしていると、もう誰も座ることのない息子の椅子を見るたびに、涙があふれます。いつも、おもしろいことを言って笑わせてくれた。優しかったあの子。息子との思い出は、尽きることがありません。

息子がまだ19歳だったときのことです。彼はドラムを叩いてバンド活動に熱中していました。
「お母さん、俺、ライブやったら、女の子がみんな俺のこと見て、キャーキャー言ってたわ」
「茨木一のぶさいくが、何言ってんねん(笑)」
「あんたが生んだ子やで! こんなに似てるのに、よう言うわ!」
息子と私は、いつもそんなふうにふざけ合う、仲の良い親子でした。
「俺、プロのドラマーになって、一万円札で部屋を埋めてやるからな」
そんなことを言う、とても優しい親孝行な子でもありました。
ところが、ある日突然、足が動かしにくくなり、ドラムのペダルが踏めなくなったのです。地元の病院を受診すると、京都の大学病院を紹介されました。検査の結果、告げられたのは、「副腎白質ジストロフィー※」という耳慣れない病名でした。骨髄移植を受けることになりましたが、確実に治るという保証はなく、発病してから2年くらいで亡くなる人も多いということでした。私は、あまりのショックに、目の前が真っ暗になりました。
その数年前に、長女と三女に勧められて幸福の科学の信者になっていた私は、すがるような思いで、幸福の科学の支部長に相談しました。
「それは、ぜひ、幸福の科学の祈願を受けるといいですよ」
支部長の勧めで、私は、歩くのも大変な息子を、おぶうようにして支え、新幹線に乗って東京に向かいました。そして、当時、東京だけで行われていた、「強力病気平癒祈願」という祈願を受けたのです。祈願が終わると息子は、「お母さん、帰るよ」と言って、スタスタと歩き始めました。本当に驚きました。
「俺も不思議でしょうがないわ。でも、本当に歩けるんや」
「奇跡をいただいたんやね!」
目の前で起きた、祈願による奇跡……。ありがたくて、2人で涙ながらに感謝しました。

※副腎白質ジストロフィー:数万人に一人の難病。歩行障害、言語障害、聴力低下、嚥下障害などの症状が出て、2年ほどで死に至るケースも多い。治療法は主として骨髄移植。

つらい副作用

祈願をしてから2、3カ月後、骨髄を提供してくれるドナーが見つかりました。なかなかドナーが見つからず、何年も手術を待つ人も多いので、こんなに早く見つかったのは、祈願のおかげだと思いました。けれども、移植をしたあとが大変でした。移植した骨髄を、自分自身の骨髄が攻撃するのを防ぐため、強い免疫抑制剤を使うので、その副作用で体がボロボロになったのです。ゲーゲー吐いて、髪の毛は抜け落ち、見るのも辛い状態でした。
「タバコも吸えんし、ドラムも叩けないんやったら、もう、いっそ、死んだほうがましや……」
あんなに明るくヤンチャだった息子が、生きる気力も希望もなくし、食べ物も喉を通らないほど落ち込んでしまいました。
「T、大丈夫や。心の力で病気にも勝てる」
「もし、万が一、死んだとしても、『あの世』があるんや。天国は、この世より、ずっと素晴らしいところなんやで!」
Tの四人の姉たちも、全員、幸福の科学の信者になっていたので、家族みんなで、息子を明るく励まし続けました。以前は、「幸福の科学? 俺には必要ないわ」と言って、ドラムばかり叩いていた息子でしたが、何とか生きる希望を見出そうと、少しずつ、 大川隆法総裁 の著書を読んで教えを学ぶようになりました。

幽体離脱、臨死体験

闘病中、息子は何度も意識不明になり、その際、「幽体離脱※」を経験しました。肉体を離れた魂が、あの世の世界を見てくる「臨死体験」もして、その体験を、リアルに話して聞かせてくれました。
最初に臨死体験をしたのは、骨髄移植の直前のこと。点滴を引きずってトイレに行って、つまずいて転んだときに体験したそうです。
「あっちの世界は、すっごい心地いいんや。きれいなお花畑があって、『もう戻りたくない』って思ったけど、気づいたら灰色の世界に行ってて……。そこにずっとおるか、肉体に戻るか、迷ったんや。灰色の世界はきっと地獄やと思う。えらい孤独でさみしい世界で、『やっぱり、ここにおるのは嫌や』って戻ってきたんや」
また、別のときには、「看護師さんたちが、『今日のランチはパスタにしよう』ってベッドの横で相談してて、『俺もパスタ食べたい!』って思った瞬間、魂が肉体に戻ってきた」とも話してくれました。
「あなたらしい」と私は笑いました。けれど、何度も臨死体験をしたことで、息子は、「あの世は100パーセントある」という大川総裁の教えを、深く確信するようになったのだと思います。そして、死後の世界を確信したからこそ、病の苦しみも、死と向き合う恐怖も、希望に変えていけたのだろうと思っています。

※幽体離脱:魂が肉体を抜け出すこと。幽体離脱をして「あの世」(霊界)へ行き、さまざまな見聞をして戻ってくる「臨死体験」をする人も多い。世界各国で同様の体験の実例が多数報告されている。

一度も「苦しい」とは言わずに

息子は、生涯、定職に就くことはありませんでした。病状が安定して退院しても、細菌などに感染すると命取りになるので、ちょっと風邪を引いただけで、すぐに病院に逆戻りでした。そんな調子で、亡くなるまでずっと、入退院を繰り返していたのです。たった一度だけ、マカロンを売るお店で働いたことがありました。
「今日な、みんなで会議っちゅうのをやったんや」
そう嬉しそうに話していましたが、そこも長くは勤められませんでした。
亡くなる5、6年前に、肺気胸※を患ってからは、よく痰がからみ、呼吸が苦しくなって、以前にも増して、大変な毎日が続きました。それでも息子は、「この教えのおかげで、自分はここまで生きてこれた。人生に希望をなくしたり、病気で苦しんでいる人のために、何かお役に立ちたい」と、自宅から歩いて5分ほどのところにある、幸福の科学の 支部 へ行き、布教誌配布などの活動に参加していました。ゆっくりゆっくり、息を切らしてフーフーいいながら、ふつうの人の倍以上の時間をかけて支部まで歩いていました。けれど息子は、幸福の科学で勉強するようになってから、一度も、「苦しい」とは言いませんでした。
「お母さん、僕は体は病気でも、心は健康やから」。それが、彼の口癖でした。

※肺気胸:肺に穴があいて空気が胸腔に漏れる疾患。胸痛、呼吸困難、咳などの症状があり、病院での適切な治療が必要。

旅立ちの準備

発病から約13年。日本では、同じ病気の人で、息子ほど長く生きた人はほとんどいないそうです。彼の存在は、医師にとっては貴重な研究対象であり、同じ病に苦しむ人にとっては大きな希望の光でもありました。危機的状態に陥っても、いつも家族全員で心を合わせて幸福の科学で祈願をすると、そのたびに、まるで不死鳥のように復活した息子。けれど、最期の時は、確実に近づいていたのです。
このころ息子は、四女のMに、「こんな服を持ってきてくれ」とか、「髪の毛を洗ってほしい」とか、「爪を切ってほしい」と頼んでいました。私には、大川総裁の 『永遠の法』 を、病室まで持ってきてほしいと言いました。『永遠の法』は、「あの世」について詳しく書かれた「あの世のガイドブック」のような本です。お洒落だった息子は、身ぎれいにして、”その時”を迎えたかったのでしょう。もういっぺん『永遠の法』を読んで、あの世のことをおさらいしておきたかったのかもしれません……。
いずれにせよ息子は、自分のこの世の命がもうすぐ尽きるということを感じて、その準備をしていたのだろうと思います。10月はじめ。いったん退院していた息子は、自宅で意識を失い、再びかかりつけの大学病院のICUに運び込まれました。すぐに、四女のMが幸福の科学の支部で祈願をすると、息子は、いったんは意識を取り戻し、駆けつけた三女と普通に会話をしていたので、今度もきっと大丈夫だろうと信じていました。けれども、十日後、息子はついに力尽き、この世を去っていったのです。

天国で生きるわが子とともに

帰天式(葬儀)は、地元の支部で、「幸福の科学式」で行われ、150名以上の人が参列してくれました。読経のあと、支部長が息子のために、お別れの言葉を手向けてくれました。
「あなたは今、この世の人生を終えて、これから魂の故郷である『あの世』へと旅立ちます。本日のこの儀式は、T様の魂に、安らかに天上界にお還りいただくための儀式です。ご生前、あなたは私に話してくれました。自分は、体のことで悩みもした。人生を恨んだこともある。しかし、家族に支えられ、信仰に出会い、今、すごく幸せだ、と。すべてに感謝できるようになった、と。そして、ある寒い夜、黙ってTさんの部屋に入ってきて、はだけた布団をサッとかけてくれた方があったそうです。お母様です。Tさんは、涙を流して感謝されたそうです。決して病を言い訳にせず、苦しんでいる人を助けたい、世の中を良くしたいという情熱を持って支部の活動をしていたあなた。熱があっても会議にかけつけてくれ、友達の相談にも乗ってあげていたあなた。そんなあなたを、みんなは頼りにし、尊敬していました。どうか、Tさん。霊天上界に還られましたら、さらに素晴らしい存在となられ、ご活躍されることを心から祈念いたします」
会場は涙に包まれました。参列者の心が一つになり、心から息子の来世の幸福を祈る、本当に素晴らしい式でした。

息子を亡くした悲しみは、今も消えてはいません。けれども、「あの世」はあって、「Tも、あの世の天国に還って、今も元気に生きている」と思うと、心がスッと楽になります。薬の副作用で筋肉が落ち、やせ細っていた息子は、いつも、「俺、マッチョになりたいわー」と、おもしろおかしく言っていました。
「きっと、いまごろは天国で、元の健康な体に戻って、筋肉もりもりになってるんやろなぁ」
娘たちとそんな話をして、彼を偲んでいます。天国の息子に供養の心を手向けながら、私も前を向いて生きていこうと思います。

正しい供養の方法

世にある先祖供養は、要するに、生きている人たちの心の慰めにはなっていますが、死者に対する実際上の救いにはなっていないことが数多くあります。いや、救いになっていないだけではなく、むしろ反対になっていることがよくあるのです。
というのも、臨終の際に、自分が永遠の生命であるということをよく知らず、また人間の真実の生き方ということを知らないままに死んでいった人たちは、肉体を去った後、いかに行動すべきか、どうしたらよいのかわからないでいるのです。そこへ自分の子孫たちが供養してくれていますと、わからないままに、「ああ、彼らが自分を救う責任があるんだな。義務があるんだな」と思ってやってくるのです。
そしてそれだけならよいのですが、そこで災いを起こすというようなこともあることがあります。それは起こすべくして起こしているわけではありませんし、彼らにとっては知らず知らずに犯している罪でしょうが、子孫を頼ったりすることによって、病気を起こしたり、事故を起こしたり、さまざまな不幸を呼びこむことがよくあります。ではその結果、迷っている人はそれで救われるかといったら、救われないのです。それはさらに罪を重ねたことになって、苦しみの時期はもっと長びくことになります。
したがって、死者を供養するときには、正しい意味での供養というものをやらなければいけないのです。正しい意味での供養とはいったい何であるかと言いますと、それはまず供養する側、すなわち生きている人間自身が真実の人生に目覚めることです。「人間はかく生きるべし」ということを、まず知らなければならないのです。知っていなければ、教えてあげることができません。自分自身が、そのままであれば本当に地獄に堕ちてしまうような生き方をしている人が、すでに地獄にいっている人を救うということは、不可能なことなのです。それは同類が同類を呼んでいるだけであって、救うことにはならないのです。

天国・地獄を分けるもの

ところが、先祖供養を中心とした教えのなかには、根本的に間違ったものもあります。それは何かというと、要するに、生きている人間にとって自分自身をまったくふり返る必要のないような考え方や教えです。「あなたが不幸なのはあなた自身の責任ではない。それは先祖が迷っているからだ。それは三代前の人がこうなったからだ。それはこういう人が祟っているからだ」。こういう考えがあります。
たしかに、事実としてはそういうこともありましょう。霊視をしたならば、そういうこともあるでしょう。しかし、もしそれが事実だとしても、他の人のそういう障りによって、仕業によって、自分の不幸がつくられていると思う心は、その心自身がすでに地獄なのです。地獄的なのです。だからこそ、そういうものを引き寄せているのです。
天国・地獄を分けるものは簡単です。自分で自分の間違いを正せるか、すなわち自分の責任を認められるか。それとも、自分の責任と思わずに人のせいや環境のせいにするか。選択肢は単純なこのふたつです。そして、自分自身の責任として反省をし、努力をして自己を改善してゆける人は、絶対に地獄に堕ちないのです。簡単なことです。ところが、人のせいや環境のせいにする思いで生きている人は、結局、自ら積極的に地獄というものをつくり出している張本人でもあるのです。
ですから、先祖を供養したいという心そのものは愛の心でありますが、先祖が祟っているから自分は不幸なのであり、これさえ切ってしまえば幸福になれるというような心は、これは愛の行為の逆になります。私の言っている愛とは、与える愛、人に尽くす愛ですが、この逆の行為、すなわち奪う愛、あるいは奪いとる愛、もぎとる愛、要するに他人のせいによって自分の幸・不幸を調整しようとする心、こういう方向になってくるわけです。
こういう人が増えてきますと、社会が全体におかしくなってくるようになり、また地獄の人口が増えてくるようになるわけです。この根本的なところをまず抑えなくてはなりません。

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