自分の子供なのになかなか性格がつかめない……。そんなふうに悩みながら子育てをしていたお母さんの体験をご紹介します。
S.Y.さん・Mちゃん(千葉県)
月刊「ヘルメス・エンゼルズ」
より転載・編集
長女のことが心配だった私
幼稚園生の頃、Mを見て私はちょっぴり不思議でした。周りの子たちと行動の仕方が少し違うのです。
なんでも興味を持てば、すかさずワーッと駆け寄るような無邪気な時期に、Mはとても控えめで、たいていみんなより遅れて行動していたのです。
私は、自分の育て方がよくないのではないかと悩みました。
それに、Mが、スピードの速い現代社会についていけるのかが心配でした。
私は、気が短くすぐにイライラして「早くしなさい」とよく怒っていました。
2歳下の妹が幼稚園に入園すると、Mの遅さがますます目立ちました。
2人は対照的で、妹は毎朝の通園の準備もテキパキと済ませます。それだけで、下の子のほうがいい子に見えてくることもありました。
私は、「人間は生まれる前から魂の個性を持っている」と、 幸福の科学 で学んでいました。次女の個性は自分との共通点が多くて分かりやすいのですが、長女のMの性格は分からないことばかりです。
「どうしてそうなの?」不安な気持ちが絶えませんでした。
親子で似ている魂の傾向性
Mが小学校に上がり、しばらくすると、担任の先生からこう言われました。
「Mさんは、そばに行って名前を呼んで、何回目かでやっと気がつくことがありますね」
私はその話を聞いて「先生に失礼だ」という思いで頭がいっぱいになりました。
「呼ばれたら、返事しなきゃだめでしょ!」
怒られたMはしゅんとしていました。
ところがある日、私が主人に声をかけると、主人も何度目かでやっと反応したのです。
(そういえば主人も、前からそうだわ……)
「呼んでいるんだから、返事してよ」と私が言うと、
「えっ? ぜんぜん気がつかなかった……」と主人が言うのです。
「それじゃあ、Mも?」
私は、聞こえているのに返事をすぐにしないのは失礼だと思っていました。しかし主人は、集中していて本当に聞こえていないというのです。
私は、幸福の科学の教えを一つ思い出しました。
親子は似ている者同士で、生まれてくる前に「親子の縁」を結んでいる――。
(Mは、主人に似ている魂なんだわ)
Mの個性を知る手がかりが、ここにあるような気がしました。
主人は私に言いました。
「仕事も勉強も、集中することで成果が出るんだから、すごく大切なことだよ。無視しているんじゃなくて、ホントに聞こえてないんだから、Mをそんなに怒っちゃだめだよ」
研究者として立派に仕事をしている主人の言葉には説得力がありました。私は、それ以降、Mがすぐに返事をしないことについてイライラしなくなりました。
「どうして分かるの!?」
Mは、2年生、3年生と成長していっても、じっくり考えながら行動するパターンに変わりはありませんでした。それがMの魂の傾向性なのだと理解していたものの、私は時折、不安になりました。
(この子は、このままで大丈夫なのかしら……)
私は悶々と悩んでいましたが、主人は違いました。主人にはMの考えが分かるのです。
例えば、Mが3年生のときのことです。
算数の問題で2桁の数字をいくつも足していく計算があり、解くのにずいぶん時間がかかりました。心配して主人に話してみると、主人は、Mがどうやって計算しているのか、本人に聞かなくても分かってしまったのです。
Mは、15と25で40を作るなど、ちょうど10ずつのまとまりになるような数の組み合わせを、探しながら計算していたようです。
私は、どうして主人が聞かなくても分かったのか、不思議でなりませんでした。
「ぼくもそうだったからね」
(そんなところも似てるの?)
親子とはいえ、傾向性がここまで似ているものなのかと、私はとても驚きました。
よくよく聞いてみると、Mのいろいろなところが主人の子供時代と似ていました。
また、主人は小学生半ばまで勉強がよくできなかったけれど、高学年になってから成績が伸びてきたと言います。
私はそれを聞いて、Mのことをもう少し長い目で見ていこうと思えるようになりました。
その後は、主人にも、Mの勉強をできるだけ見てもらうようにしたり、
「あなたは小さい頃どうだったの?」
と主人に聞いて参考にするなどしていきました。
私の考え方が変わった
私は主人のおかげで、Mの個性を理解しやすくなりました。
けれど、周りの子より遅いことを、M自身も気にするようになり、私も困ったものだと思っていました。
3年生の冬、Mは学校で版画の年賀状を作りました。
たいていの子は、1人あたり15枚ほど刷って持ち帰りました。
けれどもMはたったの2枚でした。そのうち一枚は提出用だったので、手元には1枚だけです。
「これじゃあ、両方のおばあちゃんにも送れないじゃない!彫るのが遅いからよ」
「ごめんなさい……」
Mはうつむいて黙っていました。
ところが数日後、そのMの版画が、校内の美術コンクールで金賞になったのです。
私はとても後悔しました。
「怒ってごめんなさい。悪かったわ」
「うん、いいよ」
Mはサラッと答えました。
(時間はかかったけど、いい結果だった)
この経験で、とにかく速いほうがよい、という私の考え方が変わり始めました。
その後、Mは4年生になると、学力テストなどで安定してよい成績を取れるようになりました。集中してこつこつ勉強しているMの努力の賜物だと思いました。
私は、じっくり考えながら真面目に取り組むMの個性を「素晴らしいものだ」と思うようになりました。
Mも、「努力を続けていれば、それなりの結果があるのだ」と分かったようです。
Mは今、5年生です。集中しすぎて困らないように、時折周りを見るようにしていると言います。自分の魂の特徴を知ることで、自分で気をつけることがようになってきました。
子供の個性を輝かせ、親子ともに社会に貢献できることを目指して、幸福の科学の教えを学びつづけていきたいと思います。
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