精密な描写で写実的に描く「スーパーリアリズム」のイラストレーターとして活躍しているMさん。同業者への嫉妬心を克服することで成功への道が開けていった軌跡を聞きました。
(M.Yさん・東京都・50代・男性)
月刊「幸福の科学」378号より転載・編集

体験談 「祝福」と「努力」が成功への鍵

念願のイラストレーターになるも…

1988年の秋。当時24歳だった私は、師事(しじ)していたイラストレーターのもとを離れ、フリーランスとして独立しました。高校時代からの夢だったイラストレーターになれた喜びと、
「この仕事で食べていけるのだろうか」
という不安が半々でしたが、友人の紹介で仕事をいただき、まずまずのスタートを切ることができました。

それからすぐのこと。仕事の合間に、プロのイラストレーターの作品が紹介された雑誌を読んでいたとき、ふと、あるイラストが目に留まりました。

写真を超えたリアリズム、卓越(たくえつ)した描写。しかも、作者の年齢は、私よりも年下でした。

(俺より若いのに、こんなに絵が上手くて、売れてるんだ…)

胸のあたりがモヤモヤして、不快な気持ちになりました。さらに雑誌のページをめくると、個性的なイラストで人気を博しているイラストレーターが紹介されていました。

(どう見ても俺の方が上手いのに、なんでこの人が売れてるんだ? 悔しい―)

私とは画風が違う方ですが、売れているというだけで嫉妬心が湧(わ)いてきて、どうしてもケチをつけたくなってしまいます。

苦い思いを味わいたくなかった私は、次第に他人の作品を見るのを避けるようになっていきました。

しかし、家から一歩外に出れば、電車の広告や本の表紙など、イラストレーターの作品はあちこちにあり、すぐ視界に入ってきます。
それを見るたびに心が揺れました。

嫉妬を感じる相手は「自分の理想像」?

嫉妬心に悩みながらも、自分の仕事を淡々とこなし、2年がたったある日。

「ねぇ、Mくん。これ読んでみない?」

友人から、大川隆法総裁の書籍『ピカソ霊示集』(※1)や、『太陽の法』『黄金の法』『永遠の法』(※2)を勧められました。そのなかで説かれていた深い愛の教えや、霊的世界の仕組みに感銘を受け、もっとこの教えを学びたいと思い、幸福の科学に入信。経典を学んだり、大川総裁の大講演会に足を運んだりするようになりました。

そして、1993年の2月。横浜アリーナでの大川総裁の大講演会「愛、無限」(※3)に参加しました。そこで、思いがけず、今まで悩んできた嫉妬心に対する答えを与えられたのです。

「嫉妬に打ち克(か)つ方法は何でしょうか。それは祝福(しゅくふく)の心です。自分が嫉妬している対象こそが、実は自分自身の理想像にほかならないのです」

「自分が理想とする相手は、尊敬すべきであり、肯定すべきなのです。『自分もそのようになりたい』と思ってこそ、その理想に対して、一歩一歩、近づいていくことができるのです。ところが、嫉妬を始めた瞬間から、もはや近づくことはできなくなって、遠ざかっていきます」

この言葉を聴き、ハッとしました。

(そうか、自分が嫉妬を感じる相手は、「自分の理想像」なんだ―。人気がある作家に嫉妬してばかりでは、その人たちから遠ざかってしまう。このままではいけない…)

さらに、「嫉妬心の元には劣等感がある」と説かれたことも、私の心に深く残りました。

その日の講演を聴いて、「劣等感を克服しなければ、嫉妬心は消えない。そして、劣等感や嫉妬心を乗り越えるには努力が要る」ということが分かりました。私は自分を変えるために、「今まで嫉妬していた方々の活躍を素直に認め、相手から学び、努力していこう」と心に誓ったのです。

※1 :『 ピカソ霊示集』は現在、『大川隆法霊言全集』第38巻、第39巻に収録されている(どちらも大川隆法 著 宗教法人幸福の科学刊)。
※2 :『 太陽の法』『黄金の法』『永遠の法』は、幸福の科学の教えの輪郭を示した基本三部作(すべて大川隆法 著 幸福の科学出版刊)。
※3 : この法話は、書籍『愛、無限』( 大川隆法 著 幸福の科学出版刊)に収録されている。

祝福と努力を重ねて

それから私は、人気作家のイラストが紹介されている雑誌を買って、研究を重ねました。仕事の合間を見ては、「絵が上手い人たちはどんな努力をしているのか」「自分に足りないものは何なのか」をとことん考え、優れた技法を見習うようにしたのです。

しかし、嫉妬心はすぐにはなくならず、祝福も簡単にはできませんでした。売れているイラストレーターを見ると、どうしても嫉妬の思いが湧き上がってしまいます。

(ああ、やっぱり悔しい―)

そのたびに、「嫉妬を祝福に切り替える努力」をしました。

(こんなに成功して、スゴイなぁ)

最初はなかなか心がついていかず、”形だけ”の祝福のことも多かったのですが、それでも「祝福」の2文字を念頭に努力を続けていくと、少しずつ心が変わっていきました。

例えば、有名イラストレーターのAさんに対しては、

(絵の上手さに、本当に脱帽するなぁ。この方の後ろ姿を見ているからこそ、俺も成長できる。ありがたいな―)

また、個性的なイラストが人気で、「絵の上手さに欠ける部分は、絵を売り込む交渉力で補う」というBさんに対しては、

(知識が豊富で人間としても魅力的だから、成功しているんだな。交渉力についてはBさんを見習っていこう)

と思うようにしたのです。

さらに、制作ツールに関しては、多くの人気作家がパソコンとペイントソフトを用いて描いているので、私もチャレンジすることにしました。それまでは、

(新しい道具にかぶれやがって…)

と、やっかむ気持ちがあり、私自身はアクリル絵の具と筆で描いていたのですが、そういうこだわりも捨ててみようと思ったのです。

当時は既に40代半ばで、今からできるのかと不安もありましたが、一から使い方を学んで努力を続け、なんとか修得することができました。そして、ちょうどそのころに開催されていたイラストコンテストに応募してみると、驚いたことに第二位を受賞したのです。

(チャレンジしてみて、良かった―)

仕事が広がっていく喜び

そうした努力を続けるうちに、大手企業の広告の仕事を依頼されたり、銀座や恵比寿で個展を開催できたりと、仕事の幅が広がっていきました。さらに、大川総裁の書籍の表紙のイラストを描く機会にも恵まれたのです。
私にとって、イラストレーター冥利に尽きる大変光栄なことでした。

(主エル・カンターレや、この本を読まれる皆さまに、喜んでいただけますように―)

そんな願いを込め、今まで培ってきた経験や技術のすべてを出し切って描かせていただきました。本当に夢のような出来事でした。

その後は、海外での仕事のチャンスが巡ってきたこともありました。20年以上お世話になっている著名なグラフィックデザイナーの方から、イギリスでの展覧会の仕事のお誘いをいただいたのです。

「Mくん。今度、ロンドンのデザイン・ミュージアムでこけら落とし展を開催するんだけど、手伝ってくれない?」

私は喜んで仕事を引き受け、真心込めて絵を描かせていただきました。

以前は、人目に触れない小さな仕事をポツポツとこなすことが多かったので、活躍の場が海外にまで広がり、喜びと感謝で胸がいっぱいでした。

そのように、一歩一歩と実績を積んでいくにつれ、心にゆとりが生まれ、気がつくと他のイラストレーターに対する嫉妬心をほとんど感じなくなっていきました。自然と祝福ができるようになるまで、15年はかかったと思います。

私は、大川総裁の教えのおかげで嫉妬の苦しみから自由になり、幸せな気持ちで大好きな絵の仕事を続けられています。「祝福」の思いを持って努力することで、心も磨かれ、実力も上がっていくことを実感しました。

これまでお導きくださった主エル・カンターレや、お世話になった恩師、良い刺激をくださる同業の皆さま、仕事をくださるクライアントの方々―。皆さまへの感謝の思いを胸に、後世に遺せる素晴らしい作品を描いていきたいと思います。

月刊誌378号 2(スーパーリアリズムの手法を極め、独特な存在感を醸(かも)し出しているMさんの作品)

月刊誌378号 3(「いつも、クライアントのご期待以上の仕事ができるよう、心がけています」と、仕事に対する熱意を語るMさん)

書籍で学ぶ嫉妬を感じる相手に対して「祝福の心」を持つ

『真実への目覚め』P.116(大川隆法 著/幸福の科学出版)

嫉妬は自分の理想像の否定

本当は、表面意識下では実現を願っているにもかかわらず、目標になるべき方向にいる人に嫉妬することによって、みなさんは、その方向に進むことができなくなるのです。

なぜならば、みなさんには、嫉妬をしている対象に対して、必ず、批判をし、悪口を言い、その人の欠点を指摘するようになる傾向があるからです。

ここは大事なところです。みなさんが心に感じる嫉妬が、「本当は、この人のようになりたい」と思う人に対するものであることを、素直に認めることができたならば、嫉妬の心を抑えて、逆に祝福の心を持っていただきたいのです。

祝福の心は「肯定の心」です。「かくありたい」と願う心です。祝福の心は、「他の人の幸福を願う心」なのです。

その心を持っていれば、みなさんは、自分が祝福している人の方向に向かって、人生を歩んでいくようになるのです。

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