心の傾向性を変えれば重度のウツだって克服できる
職場での配置転換を機にウツ病を発症し、幻聴が聞こえ、薬の副作用で寝たきり状態になってしまったひとりの男性。幸福の科学に出会い、教えと信仰の仲間に支えられ、薬を止め、職場復帰も果たしました。ウツと闘った心の軌跡とともに、人生のヒントをお届けします。
(K.Yさん/男性/大阪府/「ザ・伝道」第203号より転載・編集)
信仰を支えにウツと決別
子会社への出向がきっかけでウツ病に
「Yくん、今度、子会社への出向が決まった。行ってくれるね?」
それは6月のこと。当時35歳だった私は、勤務していた製薬会社の子会社支社への出向を命ぜられました。 半年で戻る予定でした。ところが、12月になって、今度は、「子会社の本社で勤務するように」と指示されたのです。そこでの仕事は、高度な数学の知識が必要とされるものでした。私は全く理解できずに、とても苦しみました。
(何も分からない。仕事ができない……)。私は、入社以来、真面目に仕事をこなし、そこそこの評価と自信もありました。忘年会や社員旅行などの社内行事では、いつも幹事をつとめ、社内ではリーダー的存在でもありました。それで、「仕事が全く分からない自分」というのは、受け入れることができませんでした。上司にも相談できないまま、職場に出てはいたものの、不安な気持ちが、やがて恐怖へと変わっていったのです。
子会社本社への出向から約1カ月半。ある日、突然、仕事中に頭上から心臓にかけて、稲妻のような閃光が通り抜けました。しびれるような衝撃を受け、悲しみの涙が流れ、私は放心状態になってしまいました。(もう、無理だ! やっていけない……)。強い挫折感とともに、心がポッキリと折れてしまいました。2月、上司に勧められて病院を受診すると、「ウツになりかけている」と診断され、医師の判断で休職することになったのです。
幻聴が聞こえ始める
休職後、最初のうちは、「長い休みをもらった。頑張ればなんとかなるさ」と、つとめて楽観的に考えるようにしていました。けれど、食事をしても、まるで砂を噛んでいるように味が分からず、大好きだったギターを弾いても、全然楽しいと感じられません。
「そんなことなら、気晴らしにこっちへ来て、山登りでもせんか?」
田舎の親戚がそう申し出てくれたので、その好意に甘え、お宅にお世話になり、景色の美しい裏山に登りました。ところが、その日の夜、突然、心臓の音が体の外まで聞こえるのではないかと思うほど激しい動悸がして、”声”が聞こえてきたのです。
〈ハハハ……。薬漬けにして、半狂乱にしてやる!〉
「幻聴※」です。幼いころから「金縛り」や「幽体離脱」など、不思議な体験を数多くしていた私は、(幻聴もその一つで、「霊の声」なのではないか?)と薄々は分かりましたが、止める方法が分かりません。その日は一睡もできず、気持ちはますます落ち込んでしまいました。大阪に戻ってから、私は部屋に引きこもるようになり、ほぼ一日中、ベッドの上で過ごすようになりました。当時、同居していた両親も、私にどう接してよいか分からず、戸惑うばかりでした。
※幻聴:実際に音や声が出ていないのに音や声が聞こえること。
死ぬことしか考えられなくなって
私は、処方される大量の薬を、まるでラムネ菓子でも食べるかのように飲みました。薬の副作用からか、言語障害、排泄障害、記憶障害にも悩まされ、町に出ても、帰宅する道順すら分からなくなりました。
(出向さえなければ……。あのとき、あそこへ行かなければ……)と、過去のことをクヨクヨ考え続けたり、(何てダメなやつなんだ)と自分を責めたり、ネガティブな思いばかりが心を巡ります。幻聴も、ひどくなる一方でした。電車を待ってホームに立っていると「飛び込め!」とか、包丁が目の前にあると、「殺れ!」などと、ささやきかけてきます。夜は、ほとんど一睡もできず、漆黒の暗闇のなかで、幻聴におびえる毎日。
(誰かを殺めてしまうかもしれない。もう自分が死ぬしかない……)
頭のなかは、「いつ、どこで、どう死ぬか」だけでいっぱいでした。処方された薬を一度に全部服用し、救急車で運ばれたり、凍死しようと冬の山に入ったりもしましたが、結局は死にきれませんでした。
幸福の科学との出会い
そんなおり、自宅に、九州のある見知らぬ婦人から、一通の手紙が送られてきました。
「ご親戚の方から聞きました。ぜひ、幸福の科学の
支部
へ行ってみてください。必ず、ウツは治りますから」
その女性は、親戚の知り合いの幸福の科学の信者の方でした。見ず知らずの人がなぜ、と思ったものの、死ぬ前に行くだけは行ってみようと、私は、自宅からほど近いところにある幸福の科学の支部を訪ねました。
支部では熟年の男性の支部長が、話を聴いてくれました。とはいえ、私は、まともに会話ができるような状態ではなく、ボソボソと単語だけを並べて話すような感じでした。
「それは、つらいですねぇ。でも、『あなたには、使命がある』と思いますよ。三帰誓願※をしてみませんか?」
(寝たきりの自分に「使命」がある? よう意味は分からんけど……)
私は一縷の望みをかけて、幸福の科学のメンバーになりました。支部長が
『仏説・正心法語』
※という経文を手渡してくれ、「この経文には、強い神秘の力があって、毎日読むと心が落ち着き、病気が治るなど、たくさんの奇跡も起きているんですよ」と教えてくれました。
※三帰誓願:「仏」「法」「僧」の「三宝」に帰依し、修行を続けることを誓うこと。
※
『仏説・正心法語』
:幸福の科学の根本経典。日々、読誦すると、心が穏やかになり、人生が好転する。
遠くに見えたかすかな光
幸福の科学の書籍に書かれている教えは、スーッと心に入りました。悪霊や天使などの「霊的存在」は実在し、ウツなどの精神疾患では、その人のマイナスの心の傾向性に「波長同通※」して、「悪霊」が寄ってきているということ。そして、幻聴などの症状は、悪霊が耳元で”ささやく”声であること、などが書かれていました。
ただ、人間はみな「仏性」を持っており、本来、光り輝く素晴らしい存在であること。そして、心を変えれば悪霊は離れていき、一人ひとりの心の力で未来は切り拓いていける、とも説かれていました。(そうだったのか。そういうことだったんだ!)と、こんがらがっていた糸が、少しだけ解け、かすかな光が見えました。
※波長同通:心の世界、霊界の法則で、同じ波長のもの同士が通じ合うという法則。悪霊の憑依は「波長同通の法則」に基づいて起こる。
雲水修行で心の誤りに気づく
しかし、一年以上も続いていた”引きこもり生活”から脱することは、簡単なことではありませんでした。幸福の科学の支部に行くと、不思議なパワーに護られているようで、とても心が落ち着くのですが、自宅に帰れば、また元の暗い気持ちに戻ります。信者となって数カ月後。私は、すすめられて、幸福の科学の
琵琶湖正心館
という研修施設で、「雲水修行※」に取り組むことにしました。琵琶湖正心館は、風光明媚な素晴らしいところでした。スタッフのみなさんが、「この本は、あなたにピッタリです」「このDVDもいいですよ」と、親切にアドバイスしてくれたおかげで、私は、大川隆法総裁が説かれている様々な教えを学ぶことができました。そのなかに、ハッと気づかされるものがありました。「心が折れてたまるか」(書籍
『未来の法』
所収)という御説法でした。
“幸福の科学では、「心は、本来、光の珠のようなものである」と理解しています。すなわち、「神仏の光に満ちた、球体のようなもの」と考えています。(中略)したがって、私は、「『光に満ちたエネルギー体』としての心こそが、真実の心である。心とは折れようのないものだ」と考えているのです。”
そして、「心が折れた」と言う人は、実は頭が固く、完全主義者で、利己主義者なのだと指摘されていたのです。まさに自分のことだと思いました。私には、いつも、完璧を目指して頑張り過ぎるところがありました。でも、本当は、自分を実際以上に良く見せたい、人から賞賛を得たいという虚栄心や利己心が、とても強かったのです。また、館内に掲示されていた「感謝を求めるな」という「
心の指針
※」を読んで、「自分は感謝など考えたこともなかった」と気づかされました。
(私は、自分のことばかり考えていた。人に親切にしているつもりが、実は、感謝という”見返り”を求めていたんだ。だから感謝されないと落ち込んでいた。自分の心がウツを引き寄せていたんだ……。ありのままの自分を受け入れて、一つひとつ、自分を反省していこう)
私は、そう決意し、琵琶湖正心館を後にしたのです。
※雲水修行:幸福の科学の
精舎
で、作務などを行い、心を磨く修行をすること。
※
心の指針
: 月刊「幸福の科学」に掲載の巻頭言。
不安定な心を救ってくれたもの
しかし、その後も、不安定な状態は続きました。何日か引きこもり、信者のみなさんに励まされては支部へ行く、その繰り返しでした。
「Yくん、一週間にいっぺんは支部に来てね。心に光の充電ができるよ。幸福の科学の支部には、神仏の光が降り注いでいるんやから」
そうアドバイスしてもらったので、「週に一度は支部へ行く」という目標を立てました。また、子犬を飼って、できるだけ毎日、散歩に連れていくようにしました。こうして私は、引きこもりから抜け出す努力を始めました。けれど、調子が悪いと、相変わらず一日中、ベッドに横たわる日もありました。そんなときは大川総裁の本を読み、自分を励ますのです。
“私は、いつも、あなたがたと共にいます。(中略)あなたがたが1人で幸福に過ごせているときには、私の姿を見ることはできないでしょう。しかし、あなたがたが不幸のなかにあって、ほんとうに困っているときには、私に祈ってください。私のことを思ってください。私は、必ず、あなたがたと共にいます。(『君よ、涙の谷を渡れ。』〈会内頒布経典〉より)”
心の統御で幻聴が消えていく
信者になって1年以上が過ぎると、私のウツの症状は薄皮を剥ぐように快方に向かい、幻聴もほとんどなくなりました。支部長が、「とても神秘的な力がある」と教えてくれた「正心法語」のCDは、一日中流していました。気持ちが暗くなったら、 『仏陀の証明』 や 『釈迦の本心』 などの本を読んで心を鎮めました。「正心法語」は、分かりやすい言葉で書かれていますが、私がその内容を勉強し、理解が深まるにつれ、幻聴は消えていきました。それまでは、対処法が分からず恐怖でいっぱいでしたが、教えを学ぶほどに心の統御の方法が分かり、同時に幻聴も遠のいていったのです。
勇気を持って復職
休職から2年後の12月。私は、元の製薬会社に復職しました。会社の規約上、「この日を過ぎたら復職はできない」と通達が来たため、不安もありましたが、思い切って決断したのです。通院はしていましたが、少しずつ、薬の量も減らしました。1日、3時間の勤務から始め、少しずつ勤務時間を長くしていきました。それでも最初は、基本的な仕事のやり方すら思い出すことができず、とてもショックを受けました。頭と体の「回路」がつながらない感じです。もどかしさと悔しさでいっぱいになりました。さらに、ウツの再発率は高いので、(また、どん底の引きこもり生活に逆戻りするのではないか)という不安や恐怖も心をよぎります。心身共に、あまりにつらくて、くじけそうになる日もありました。けれど、私は、次のように心に誓い、自分に言い聞かせました。
(私には信仰がある。神仏がついている。そして、心から応援してくれる仲間もいる。これ以上、絶対に一歩も引かないぞ)
毎日、朝起きると、「気力倍増! 勇気百倍!」と大声で唱え、自分を励まし続けました。大川総裁が、「言葉には力がある」と説かれているからです。「今日、1日を頑張ろう」と、日々を重ねていくと、少しずつ心の霧が晴れ、不安が消えていきました。そして、約1年後。見守ってくれていた上司は、「よう頑張ったなぁ。よく復職できた。最初は無理やと思っとったけど」と言ってくれました。
ついに薬を断って
私は、布教誌配布など、支部の活動のお手伝いも、一生懸命させていただきました。復職できたのも、大川総裁と、大川総裁が説かれる教えと、支えてくれたみなさんのおかげです。「少しでもお返しがしたい」と思いました。先輩の信者のみなさんのように、強く明るく優しい人になりたい、という目標もでき、人生に希望を持つこともできました。
そして、復職から1年後。私は、自分の意志で、薬を絶つことを決断しました。医師には止められました。しかし、私の意志は固く、最後には医師も根負けして、言いました。
「分かりました。そこまで言うのなら止めてみましょう。何かあったら、いつでも来てください。しかし……。あなたがここまで良くなったのは、薬によってではありませんね。きっと幸福の科学の信仰が良かったのでしょうね」
私はとても誇らしい気持ちになりました。
完全にウツを克服
その年には、幸福の科学の映画が上映され、私は、その映画をPRする責任者に任命されました。「Yくんならできる!」と、支部長や、支部の信者のみなさんが、私のことを信じて任せてくれたのです。私は、「こんな素晴らしい映画が上映されていますよ!」と、自転車で近所にお知らせして歩きました。動けば動くほど、疲れるどころか、心も体も熱くなり、心身共に、とても元気になりました。
(こんなに充実した素晴らしい日々が来るとは。もう、大丈夫だ――)
映画の活動を機に、私は完全にウツと訣別したのです。
この教えと共に
生きている限り、悲しいことや苦しいことはあります。でも、私は、「たとえ、何があっても、この教えさえあれば、必ず乗り越えることができる」と強く強く確信しています。あれほど重症のウツで「生きる屍」のようだった私が、ここまで元気になれたのですから。
ウツの経験は本当につらいものでした。けれど、それがあったからこそ、利己主義だった自分が、人の痛みや苦しみにも寄り添えるようになりました。そして、何よりも、信仰に出会うことができたのです。今では、ウツに感謝しているくらいです。私はこれからの人生で、私と同じようにウツ病や統合失調症などに苦しむ方々の回復に貢献し、「生きていて良かった!」と言っていただけるように、この教えを伝え続けていきたいと思います。
ウツの原因と対処法
『真実への目覚め』 (大川隆法 著/幸福の科学出版) より抜粋したメッセージ
3カ月以上ウツが続く場合は注意
ウツの状態が長く続く場合、少なくとも3カ月以上も続くようであれば、何らかの悪霊の憑依があると考えて間違いないだろうと思います。心の針(思い)は、時計の針と同じように、360度、どの方向にでも向くようになっていて、天上界にも地獄界にも向くわけですが、ウツの状態は、ちょうど、それが地獄界のある一点を指して止まっている状態です。その結果、その方向にある地獄界にいる存在が、その人の心に同通するのです。迷っている霊が来て、その人に取り憑くことが可能になるのです。
「自家発電」によって自分を光輝かせる
ウツの対策は宗教そのものの仕事であるとも思うのですが、もちろん、医学でそれをする人もいるでしょう。ただ、医学は、精神を安定させる薬などを使い、あとは他の人から隔離したりすることがほとんどなので、根本的な治療にはなっていないと思います。では、根本的な治療とは何でしょうか。「自家発電」という言葉があります。発電所から電気を送電してもらうのではなく、自分自身の家で発電することです。ウツの治療には、この「自家発電」が必要です。要するに、その人が自分自身の心のなかで発電機を回して発電すること、その力を持つことが非常に大事なのです。したがって、「どうやって発電機を回すか。どうやって自分自身のなかからエネルギーを溢れ出させるか」ということがポイントになるのです。
「自家発電」の方法
(1)他の人に対する感謝の心を持つ
最初に述べておきたいのは、「ウツの状態にある人は、他の人に対する感謝の心を持っていない」ということです。ですから、まずは、「自分は、他の人から、いろいろなお世話を受けている。多くの人々の努力の結果、現在までの自分の人生があった」ということに対して、感謝の心を持つことから始めるべきです。その感謝の心を持つことによって、「自分は、実は恵まれていたのだ」ということを発見することが大事です。
(2)「自分は神の子である」という気持ちを強く持つ
第二点は、「自分は神の子である」という気持ちを強く持つことです。「自分は、本来、神のつくられた子供である。神につくられた光の子供なのだ」という強い自覚を持ち、自分自身に対する重要感を持つことが大事です。自分のよいところを素直に認めることも、自家発電をするためのエネルギーになります。
(3)小さな成功を積み重ねていく
こうして、人生の方向性が明るいほうを向き、軌道に乗り始めたら、あとは小さな成功を積み重ねていくことが大事です。まずは、大きな成功を狙わず、小さな成功を積み重ねていき、自信をつけていくことです。
成功している人を祝福する心
ウツの人は全世界に広がっています。それは、やはり、「与えられていることに対する感謝を考えなければいけない」ということです。例えば、「人間として生まれた」ということを、「悪いことだ」と思う人もいるかもしれません。しかし、動物に比べたら人間は本当に幸せです。いろいろなことを自由に行えるからです。このように、少し視線を変え、自分に与えられているものの多さを考えてみることが大事です。また、他の人との比較にあまり執われないことも必要です。自分に関心があることのなかで、自分より優れた人を見たとき、「自分は駄目なのだ」と考える傾向性があったら、それは改めたほうがよいでしょう。成功している人を祝福する気持ちを持つことも、ウツに対する非常に大切な薬になるはずだと私は思います。
「人生の問題集」を見つけ、解決しませんか?
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心の力を使おう
あなたも心の力を学び、運命を逆転させてみませんか?
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