この記事は、隔月発刊の機関誌「ザ・伝道」第112号より転載し、編集を加えたものです。

同居してすぐは知らなかった義父の酒癖

「やっぱり俺は、親の面倒みなくちゃなんないから、一緒に実家に住んで」

結婚直前になって、主人が切りだしました。

それまで、親とは別居だという話だったのです。正直に言うと、心のなかでは抵抗を感じました。

ただ、小学校2年生のとき父を亡くしていた私は、義理でも“お父さん”ができることを嬉しく感じる気持ちもありました。

結局、主人も長男だということで、私は義父母との同居を受け入れたのです。

気になっていた義父は優しそうな人でした。

口数が少なく、時間があると 好きなテレビをじっと見ています。

そして朝、義母がまだ寝ていると、黙って一人でお湯を沸かして静かにコーヒーを飲んでいます。どうやら義母には頭が上がらない様子でした。

 

結婚後しばらく経ったある日、帰宅した私は玄関を開けたとたん、部屋のなかの異様な空気に驚きました。

昼間なのに、あたり一面、お酒の臭いがプンプンしています。テーブルの上にはお酒の空きビン。義父が真っ赤な顔で、何かわめいていました。

怖くなった私はあわてて、義母の職場に電話しました。

「お義父さんがお酒飲んで騒いでるから、帰ってきて!」

「ああそう。いま帰るから」義母はこともなげに答えます。

まさかこれが日常茶飯事だったとは、私は夢にも思いませんでした。

酒乱の義父に手を焼いた

義父は、仕事が休みの日中、義母がいないときに限ってお酒を飲みます。実は、酒乱のようになる義父は、義母から晩酌を禁じられていたのです。

酔うと怒りっぽくなり、大声を張りあげます。目つきもすっかり変わり、私は義父の豹変ぶりにとまどいました。

「もうやめたらどうですか」とおそるおそる言うと、「俺の金で飲んでる。俺の勝手だ!」

壁をドンドン叩いてわめきます。テーブルをひっくり返したこともありました。その後は必ず外に出て、“はしご酒”のコース。フラフラになっている義父を止めようとしても、私の手を振り払って家を出ていってしまいます。

私はお店を回って義父を探します。

「あっ、いた!お義父さん、帰ろう」

酔っ払っている義父を連れて帰るのに、私はまた一苦労です。

普段はおとなしいのに、どうしてあんなにまでして飲まなければならないのか、私には不思議で仕方ありませんでした。どう見ても、お酒がそんなに強そうでなく、酒好きだから飲んでいるとも思えなかったのです。

私の頼みの綱は主人だけ。しかし、何度詰め寄っても、性格の優しい主人は、自分の親に全然意見を言ってくれません。

義母ともうまくいかぬまま20年以上経過

子供が生まれてからは、毎日てんてこ舞いで息つく間もありません。

私は義母のほうとも、あまりうまくいっていませんでした。

気がつくと日が暮れていて、仕事から帰ってきた義母の声が飛んできます。

「なんでご飯のしたくが遅いんだ。日中、家にいてヒマなんだもの。早くに作っておくもんだ」

こんな感じで10年、20年─。

その間、相変わらず深酒をくり返す義父は、お酒のために何回か入院したこともありました。いろいろなことが積み重なるうちに、私はだんだんまいっていきました。

不眠に悩んでいると、薬局で出会いが

あるとき私は、自分の体の不調に気が付きました。朝起き上がったら、クラクラめまいがして真っ直ぐに歩けません。そのうち吐き気までもよおしてきたのです。夜はいつまでも眠れず、そのまま朝を迎えてしまいました。

さすがにおかしい、と思って病院に行きましたが、お医者さんは首をかしげるばかり。私は自分でいろいろと薬を買って試しはじめました。

そんなある日、愚痴を聞いてもらっていた薬局の店員さんが「この世には、“勉強”するために生まれて来たの。勉強したことは、今度生まれ変わるときにまた持っていくのよ」と教えてくれたのです。

そして、「いまの時期におじいちゃん、おばあちゃんと仲良くなっておかないと、来世にその問題が持ち越しになるわよ。今度生まれてきたら、また同じ問題で苦しむようになるかもしれない」とも。

そんなことってあるんだろうかと半信半疑でしたが、そうは言っても本当にそうなってしまったらイヤだなぁと思いました。

半年くらいその薬局に通っているうち、私は体も気持ちも落ち着いてきました。

あるときその人は、「これ読んでみない?」と、『太陽の法』という本を見せてくれました。このとき私は、幸福の科学という名前を初めて知ったのです。

忙しくて、なかなか一冊読みきれませんでしたが、彼女が私を案じて貸してくれたことはよく分かりました。

ある日、薬局でいつものように話していると、「いま支部からの帰りなの」と、幸福の科学の信者さんが入ってきました。その人はとても幸せそうで、輝いて見えました。

私もこんなふうになりたい、と率直に思い、幸福の科学に入信しました。

支部に通って元気になった私を見て家族が入信

入信以来、家庭のなかがギクシャクしたり、心が波立ったときは、支部の仲間に何度も悩みを聞いてもらいました。

「また、ぶつかっちゃったんだけど・・・」

「なんでもシロクロはっきりさせようとしないほうがいいんじゃないの」

みんな自分のことのように考えてアドバイスしてくれます。

私が生き生きしてきたのを見て、家族も驚いたようでした。

義母に、私が幸福の科学に入った話をしたら、「じゃあ、自分も入る」と言うではありませんか、びっくりしました。

さらにそれからまもなく、義父も幸福の科学入会したのです。

研修で気づいた、義父の寂しさ

それから、数カ月が過ぎたころ、会員の仲間に誘われ、総本山・正心館に行きました。

そのなかで、愛について「子供時代に親に対するいろいろな欲求不満があり、充足されなかった場合があり、大人になっても、それが根っこになって残っている」という内容を学んだとき、お酒のために入院中の義父の姿が浮かびあがってきました。

深酒をすると人が変わってしまう義父の心の内を見たような気がしたのです。とても心細そうな様子でした。

私は以前、主人が話してくれたことを思い出しました。

義父はもの心つく前に父親が亡くなり、母親が再婚して家を出たこと。残された彼は、叔父さんの家に引き取られたこと。成長する過程で、自分の親と信じていた人が実は叔父夫婦だったと知って、ショックを受け、それからはずっと遠慮しながら生きてきたこと──。

「おじいちゃん、寂しかったんだあ」

涙がこぼれてきました。

お酒に走って家族を困らせていたのも、きっと満たされなかった寂しさを抱いていたからに違いありません。

彼には愛情が必要なのに、私は愛を与えるどころか責めてばかりいました。

申しわけない気持ちでいっぱいになり、涙が止まりません。それなのにどういうわけか、心がすーっと晴れていく感じがしました。

帰るときの私は、精舎に来るまでとは、まるで別人のようでした。

帰宅後すぐに、入院中の義父を自宅に引き取ることを、主人に提案しました。

義父母への接し方を反省できた

私の心が変わってからは、自然と優しい言葉が出てくるようになりました。

義父がお酒を飲んでいるときも、感情的に怒ったりせず、「おじいちゃんの気持ち、分かるよ」というふうに、義父の思いに添う言葉を言うようになりました。

食事も義父の好きな物を出したり、心をくだいてお世話をするようにしました。

「おじいちゃん、これ食べて」

もともと優しい人でしたが、前にも増して優しくなり、「ありがとなぁ」と柔らかい言葉を話します。

やがてお酒を飲む回数がだんだん少なくなり、量も減っていきました。

あれだけ家族を困らせていた酒乱もなくなったのです。

これがおじいちゃんの本来の姿だと確信しました。

そして義母への反省もありました。私は義母の言葉にすぐに言い返していたのです。

そこで、不満を言いそうになると、ちょっとこらえて、とりあえずカレンダーの裏にでも書いてみるようにしました。

すると義母に直接ぶつけなくても、気が済んでしまうことが分かったのです。このような日々を過ごすなかで、私と義母との関係も良くなってきました。

こんなにわが家が変わるなんて

振り返れば、義父母にはたくさんのことを教えてもらいました。

私にとって、もう二人は実の親以上の存在です。

元気だった義母もずいぶん年をとりました。とくにクモ膜下出血という大病をしてからは体が弱り、放っておけません。ハイカラさんでオムライスが好きな義母。「ご馳走さんね。あんた料理上手だなぁ」と褒めてくれます。

義父は足の具合が悪くなり、いまは施設にお世話になっていますが、私の訪問を楽しみに待ってくれているようです。私の車を見つけると、「来てくれたかぁ」と、4階の窓からニコニコ手を振って迎えてくれます。

お酒の代わりに、大好きな缶コーヒーを持っていくと、「重たいからいいよ」と思いやってくれる、その気持ちだけで私には十分です。

こんなに家族が変わるなんて、びっくりしています。幸福の科学と出会って、ほんとうによかったです。この喜びを忘れず、これからは悩んでいる人がちょっとでも良くなってもらえるように、教えをお伝えしていきます。

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